ギョウジャニンニクは、早春に採れる山菜では最強でしょう。おひたし、天ぷら、しょうゆ漬け、ジンギスカンの具など、食べ方のバラエティーに富んでいます。
しかし、スーパーで売っているギョウジャニンニクは、とんでもなく高価です。そして栽培ものは、ギョウジャニンニク特有の強烈なにおいが薄まっていて、おいしさも減少しています。やっぱり天然物を採りたいですね。
ギョウジャニンニクの概要
ギョウジャニンニクは、ネギ属の多年草です。昔は「アイヌネギ」と呼ばれていましたが、今は「ギョウジャニンニク(行者にんにく)」、もしくは「キトピロ」と呼ばれます。
近畿地方より北に分布するギョウジャニンニクですが、北海道では平地から1,000mくらいまでの高山帯に分布します。北海道以外は国立公園や国有林内などに多く生えるため、山菜としての利用は難しいようです。
そして北海道においても、国立公園内や国有林、私有地での採取はやめましょう。北海道と言えど、採っていい場所は実はかなり少ないのが現状です。
時期は、4月上旬から5月の上旬ころまでで、標高が高い場所は5月下旬まで採ることができます。
生えている場所
ギョウジャニンニクの生えている場所は、山間の沢沿いが主になります。しかし、どこでもあるというわけではないので、いろいろな場所に行って、お気に入りの場所を見つけましょう。
また、平らな場所よりも斜面の方が、良いギョウジャニンニクが多いです。それによる滑落事故が多いので、注意してください。
見分け方
まず、最初に行くときは、山菜採り経験者と行くようにしてください。山に生える野草の中には、毒草も含まれます。ギョウジャニンニクの生える場所や時期で考えてみても、福寿草やトリカブト、バイケイソウなどの毒草があります。
また、毒ではなくても似た違う野草がありますから、最初は経験者に教わってください。
それでは見分け方ですが、ギョウジャニンニクの根本にある赤紫色の皮が決め手です。この皮の具合を良く確認してください。赤紫色のカスレ具合が大事です。
次に茎の断面ですが、ほぼ円形です。
そして、香りも決定的です。ギョウジャニンニクの香りを頭に焼き付かせましょう。もう何十年もギョウジャニンニクを採っている私ですが、香りの確認を今でもします。強烈な香りなので、感じなくなるということはありません。ぜひ、香りの確認もしましょう。
採り方
ギョウジャニンニクを手当たり次第に採っても、おいしくないものが含まれます。上の写真ではギョウジャニンニクがいっぱい生えていますが、個人的にはすべてパスです。
おいしいギョウジャニンニクは、茎が太くて葉があまり開いていないものです。強いて上の写真で採るならば、赤枠で示した個体ですね。それでも、よほど採れない限り、手は出しません。
葉が開いてしまって、葉の間に花芯があるものは、葉が固くなってしまっていておいしくありません。
最後に、根ごと採取するのはやめてください。ギョウジャニンニクは多年草で、回復に時間が掛かります。また自分の庭で育てたりすると、イヌサフランなどの毒草と混じって接取してしまい、大事故につながります。やめましょう。
食べ方
最初に紹介した食べ方が主ですが、餃子に入れるのも個人的に好きです。
料理の仕方は、料理サイトにいっぱいあるので、参考にすると良いでしょう。
保存方法
ギョウジャニンニクの保存は難しいです。あの独特の香りと食感は、採りたてでなければ再現できません。
醤油漬けにしたり、ネギ味噌にしたり、冷凍にしたりしますが、本来のギョウジャニンニクにはほど遠いです。
恐らく、氷点下50度位で保存できる冷凍庫があれば、保存できるのではと思います。
用意したい道具
ギョウジャニンニク採りで用意したい道具を紹介します。
ナイフ
山菜ナイフが良いですが、山菜を採っているときに転ぶと危険を伴います。私は代わりに伸縮式のナイフを使っています。
伸縮式のナイフは、ナイフを鞘に入れたり出したりする手間が省けますし、緩めておけば間違って転んだときも危険が少ないです。
GPS
山菜採りで遭難する例が後を絶ちません。最近は携帯電話で連絡できるようになりましたが、バッテリーが切れて連絡できなくなることがあります。GPS機能はバッテリーを多く消費するので、携帯電話ではあまり使いたくない機能です。
そこで、専用のGPS受信機を用意しましょう。ハンディGPSは感度も良く、ログも取れるので便利です。また、ログを頼りにスタート地点までナビゲーションもできます。ぜひ用意しましょう。
ヒグマ除けの鈴
山菜採りでヒグマに襲われる例が少なくありません。ギョウジャニンニクの採取時期はまだ木々や草が伸びていないので見晴らしが効きますが、夢中になってバッタリなんてこともあり得ます。
そのため、ヒグマに自分の存在を知らせるために熊鈴を必ず用意しましょう。
また、クマ撃退用スプレーも良いでしょう。でも、間違っても自分にスプレーがかからないように注意してください。
カメラ
ギョウジャニンニク採りに夢中になるのも良いですが、周りにも目を向けてみましょう。福寿草やエゾエンゴサク、ヒメイチゲ、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、ニリンソウなど、野花がいっぱい咲いていることが分かります。
それらの写真をいいカメラで撮ってみましょう。以下のカメラであれば、良い写真が撮れると思います。
採りすぎずにギョウジャニンニクを楽しもう!
ギョウジャニンニクは貴重なので、つい取り過ぎてしまいます。しかし、次の人のためにも、食事一回分に留めることが必要でしょう。また、採る時は間引きをすることが重要です。採取できるまで育つには何年もかかるのですから。
ギョウジャニンニクを食べると、春が来たことを実感します。みなさんも、ぜひギョウジャニンニクを食べて、季節を感じてください。